最近、シャープのヘルシオに生成AIを使った「クックトーク」なる機能が搭載されているのを知った。
ほう。
AI電子レンジ。
なんや未来っぽいやん。
ええやん。
……と思ったんやけどな。
AI電子レンジ先生、本日の授業です
この「クックトーク」、生成AIを使って献立や調理手順なんかを相談できるらしい。
食材の使い方を聞いたり、ヘルシオの使いこなし方を聞いたり、音声でも相談できる。
ここだけ聞いたら便利そうや。
ところが。
利用するにはスマートフォンなどからサービスを開き、「COCORO HOME」アプリにヘルシオを機器登録し、「COCORO KITCHENレシピサービス」にログインする必要がある。
……。
いや、電子レンジ使いたいだけやねん。
ここでAI電子レンジ先生から、我々開発者にありがたい授業が始まる。
「機能を増やすことと、便利にすることは同じではありません」
はい先生。
いきなり重要なところ出ました。
コンセント挿して使える。それが家電の強さやろ
家電のユーザーインターフェースとして最強なのは何か。
俺はこれやと思う。
- 買う。
- コンセントを挿す。
- ボタンを押す。
- 動く。
終わり。
これでええねん。
ところがネット連携やAI機能が入ってくると、突然こうなる。
- スマホを用意する。
- アプリを探す。
- インストールする。
- アカウントを作る。
- ログインする。
- Wi-Fiにつなぐ。
- 家電を機器登録する。
- サービスを開く。
ようやくAIが使える。
遠いねん。
AI先生に会うまでが遠足になっとるやないか。
一番AIが助けるべき人が、一番AIにたどり着けへん
ここで気になるのが、デジタル機器が苦手なおじいちゃん、おばあちゃんや。
例えばやで?
おじいちゃん「昨日のご飯あっためたい」
メーカー「まずスマートフォンにアプリをインストールしてください」
おじいちゃん「アプリ?」
メーカー「アカウントを作成してください」
おじいちゃん「アカウント?」
メーカー「無線LANへ接続してください」
おじいちゃん「もうええわ。温めボタン押すわ」
こうなるやろ。
もちろん、ヘルシオそのものはAI機能を使わなくても普通の電子レンジ・オーブンとして使える。
問題はそこやない。
せっかくAIという「操作を簡単にできる可能性を持った技術」を載せたのに、そのAIへ到達するまでの操作が複雑になってへんか?
という話や。
むしろAIって、こういう人を助けるために使うべきやと思うねん。
おじいちゃん「昨日のカレー温めて」
電子レンジ「はい。量を確認して温めます」
これでええ。
スマホすらいらん。
レンジに向かってしゃべるだけ。
それくらいまで操作を減らせたとき、初めてAI家電の意味が出てくるんちゃうやろか。
先生、これはWeb開発でも同じですよね?
ここまで電子レンジをいじってきたけど、これ、Webサービスやアプリ開発でもまったく同じ話や。
「AI機能を追加しました!」
ええやん。
でも使うためには、
- 会員登録
- メール認証
- プロフィール入力
- 利用規約への同意
- 権限設定
- 外部サービス連携
- 設定画面
- さらに設定画面
- その奥にAIチャット
それ、あんたもAI電子レンジ先生になってへんか?
ユーザーが欲しいのは「最新技術を使っているという事実」やない。
自分がやりたいことを、簡単にできることや。
AIを入れること自体が目的になった瞬間、設計がおかしくなる。
AI先生から学ぶ三つのこと
AI電子レンジ先生から学べることは、割とシンプルや。
- 機能を増やしても、操作まで増やしたら意味がない。
- AIは目的やなくて、ユーザーの操作を減らすための手段や。
- 新しい技術ほど、使うまでの導線は古典的なくらい簡単にした方がええ。
Web開発でもアプリ開発でも、ついつい機能を足したくなる。
できるようになった。
せやから載せる。
AIが流行っている。
せやからAIを載せる。
でも本当に難しいんは、機能を追加することやない。
何を消せるか。
何をユーザーにやらせずに済むか。
そこやと思う。
20年以上前から続く「ネット家電」という夢
シャープといえば、20年以上前にも「インターネット電子レンジ」なんてものを世に出している。
そして時代は進み、今度は生成AIや。
インターネット電子レンジからAI電子レンジへ。
技術はものすごく進歩した。
せやからこそ次に期待したいのは、ネットにつながることでもAIを載せることでもない。
「使っている人が、技術の存在を意識せんでも便利になっていること」
やと思う。
AI電子レンジ先生。
今日もええ授業をありがとう。
皆さんも、自分の作っているサービスがAI電子レンジ先生になってへんか、一回確認してみましょうね^^


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