最近、YouTubeを開くとやたら出てくる。
「氷河期世代のリベンジ退職」
「50代社員が会社を見限った結果」
「今まで耐えてきた世代の逆襲」
「退職された会社の末路」
……なんやこれ。
オッサンをあやす動画か???
いや、わかるで。
就職氷河期世代って、若い頃から割とひどい目に遭ってる。
就職口は少ない。
新卒カードを一回ミスったら取り返しづらい。
非正規雇用は増える。
会社に入れたら入れたで、
「嫌なら辞めろ」
「代わりはいくらでもいる」
「若いうちは苦労して当然」
「根性が足りない」
みたいな扱い。
そんな時代を何十年も生きてきた世代に、
「今度はお前らが会社を捨てる番だ!」
なんて言われたら、そら気持ちいい。
気持ちはわかる。
でも最近、あまりにも同じような動画が出てくるから、ちょっと思った。
これ、本当に氷河期世代の現実を語ってるんか?
それとも単に、
氷河期世代の鬱憤を気持ちよく刺激して再生数に変えてるだけちゃうんか?
「リベンジ退職」という言葉が強すぎる
まず「リベンジ退職」って言葉がズルい。
ただの退職が、一気に必殺技になる。
長年会社に尽くしてきたベテラン社員。
誰も評価しない。
給料も上がらない。
若手に仕事を押し付けられる。
ある日ついに、
「もう辞めます」
会社は大混乱。
上司は青ざめる。
引き止めてももう遅い。
そして本人は悠々自適な第二の人生へ――。
うん。
YouTubeのサムネとしては完璧や。
「ざまあ」もある。
「逆転」もある。
「昔いじめてきた側が困る」もある。
そらクリックされる。
でも現実、そんな綺麗な話ばっかりちゃうやろ
会社辞めたら全部解決。
……するわけない。
次の仕事が見つからん人もおる。
貯金が十分じゃない人もおる。
親の介護がある人もおる。
住宅ローンがある人もおる。
身体壊してる人もおる。
もう働く気力そのものが残ってない人もおる。
逆に、
「会社には恨みないけど、もう疲れたから辞める」
って人も普通におる。
つまり現実の退職って、もっと地味や。
復讐劇じゃない。
人生上の都合で辞めるだけの人も多い。
そこを全部、
「氷河期世代の逆襲!!」
に変換すると、話としては面白くなるけど、現実からはだいぶ離れる。
氷河期世代、そんなに毎日復讐したいんか?
ここが一番気になる。
YouTube見てると、
「氷河期世代は怒っている!」
みたいな動画がやたら多い。
いや、怒ってる人はそらおるやろ。
俺だって当時の社会に対して思うことはある。
でも毎日毎日、
「会社ざまあ!」
「若者ざまあ!」
「経営者ざまあ!」
「ついに逆襲!」
ってやってたら、
疲れるやろ。
そんなに毎日復讐したいか?
俺はもうええわ。
過去に嫌なことあったとしても、ずっと怒り続ける方がしんどい。
「お前は悪くない」までがワンセット
この手の動画、構成がだいたい決まってる。
まず、
「あなたたちは不遇だった」
と言う。
次に、
「悪いのは会社、社会、政治だ」
と言う。
そして、
「今こそ見返す時だ」
と煽る。
最後に、
「長い間、本当によく頑張りましたね」
と締める。
……
やっぱオッサンをあやしてない???
「よしよし、辛かったね」
「君は悪くないよ」
「もう我慢しなくていいんだよ」
って感じやん。
いや、別に慰められること自体は悪くないで。
しんどかった人がそれで少し楽になるなら、それはそれでええ。
でも、それを毎日摂取してたら、
慰められて気持ちよくなること自体がコンテンツになってないか?
とは思う。
一番リベンジしてるの、動画投稿者ちゃうか?
ここまで考えて、ふと思った。
氷河期世代が会社にリベンジしてるんやなくて、
動画投稿者が氷河期世代の怒りを再生数に変えて、一番得してへんか?
「氷河期世代」
「リベンジ」
「会社崩壊」
「ざまあ」
「50代」
「退職」
このへんのワードを組み合わせれば、同世代の視聴者が反応する。
怒りは強い感情やから、タイトルにも強い。
コメント欄も伸びる。
「俺の会社も同じだ」
「もっと早く辞めればよかった」
「今の若者にはわからん」
「経営者ざまあ」
ってなる。
結果、動画は回る。
リベンジ退職というより、リベンジ退職市場が出来上がっとる。
氷河期世代を一枚岩にすんな
氷河期世代って、一括りにされがちやけど、中身はバラバラや。
正社員で働き続けてる人。
経営者になった人。
フリーランスになった人。
非正規で働いてる人。
もう仕事してない人。
家庭持ってる人。
独身の人。
都市部にいる人。
地方にいる人。
価値観も全然違う。
それを全部、
「不遇な氷河期世代がついに会社へ復讐!」
で括るのは、さすがに雑やろ。
「氷河期世代」というだけで、全員が会社を恨んでるわけでもない。
全員が逆襲したいわけでもない。
全員が退職したいわけでもない。
俺らは別にドラマの主人公ちゃう
現実の人生って、YouTube動画みたいに最後にスカッとせえへん。
退職しても、次の日から普通に生活が続く。
家賃払う。
飯食う。
税金払う。
仕事探す。
病院行く。
風呂入る。
寝る。
また起きる。
それだけや。
「会社に復讐して人生大逆転!」
みたいな物語にならん人の方が多いやろ。
でも、それでええんちゃうか。
別に人生、誰かに勝たんでもええ。
というわけで
最近YouTubeに大量発生してる、
「氷河期世代のリベンジ退職」
系動画。
気持ちよく見られるのはわかる。
「あー、そうそう」
ってなるのもわかる。
でも何本も見てると、
これ、オッサンの怒りを適度に刺激して、最後によしよしして寝かしつける動画ちゃうんか???
と思えてくる。
もちろん見るのは自由や。
俺もタイトル見たらちょっと気になる。
ただ、
怒りまでサブスク化せんでええやろ。
たまにはYouTube閉じて、茶でも飲もうぜ。
俺は玉露飲むわ^^



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