なあ俺、よう東京戻ってこれたよな
府中のオートロックつきマンションで麦茶を飲みながら、ふと思った。
「今こうして落ち着いて暮らしてるけど、ここに来るまでホンマにいろいろあったよな……」
2007年、社会人なりたての頃に一度住んでた府中。 あの頃は右も左もわからんまま、気づいたらマニラに飛ばされとった。 あれが人生の脱線やったんか、ある意味始まりやったんかは、今でもわからん。
マニラから帰ってきて待ってたのは、ブラック企業の連続。 朝から晩まで働かされて、上司に詰められて、気がついたら心も身体もガタガタ。 逃げるように東京を離れた先が、北海道の根室やった。
根室はな…… 風景は綺麗やったけど、人間関係が地獄やった。 よそもんには冷たくて、やることなすこと見張られてるような毎日。 深夜にコンビニ行っただけで「あの人また酒買いに行ってたで」って言われる始末。 ほんで大麻の濡れ衣まで着せられた。
ダンボールで窓塞いで、外から見えんようにしても「見えてるよ」って言われる恐怖。 あれはもう、精神崩壊する一歩手前やった。
釧路に逃げたら、ちょっと空気が変わった。 「まだ人間扱いしてもらえる場所ってあるんやな」って思った。
フリーランスとしての基盤を作ったのも釧路や。 ここでようやく、自分の時間と仕事を取り戻せた気がした。
そして、東京に戻るときは迷わんかった。 「次こそは、ちゃんと生き直す」 そう思って選んだ場所が、かつてのスタート地点、調布→今の府中やった。
今、俺はこの街でフルリモート貴族として生きてる。 エアコンの効いた部屋で、コーン茶すすりながらコード書いてる。 誰にも見張られず、誰にも束縛されん。
しんどかった過去? せやな、時々フラッシュバックする。 でもな、それすらも「今の俺」を形作るピースや。
人生ってRPGやと思うねん。 エンカウント率高すぎて、HPギリギリでようやくセーブポイントたどり着いたような。
もし今、あの頃の俺みたいに、地獄の中であえいでる人がおったら言いたい。 「それでも、生きてたら、戻れる場所はあるで」ってな。
生き延びたら、それだけで勝ちや。 そして、勝ったあとに笑ってええねん。
俺は今、笑えてる。ほんまに、よう戻ってこれたな。



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