組織信仰の心理学──“善意の檻”に閉じ込められる人々|十円玉ドットコム

「この会社は家族みたいな存在です」
「上司を信じれば必ず報われる」

──そう信じていた時期が、誰にでもある。
でも実際は、それが最も危険な洗脳の始まりや。

かつて俺が記事で書いた“会社教”──
成長を餌に社員を縛る企業信仰──。
この構造の裏には、人の心が求める安心感がある。
つまり、悪意でなく“善意”が人を檻に閉じ込めてるんや。

「上司が言うなら間違いない」
そう思うのは、人間が“安心したい”からや。
命令に従うことで、考える責任を放棄できる。
それが「楽」やからこそ、知らず知らず服従が習慣化する。

組織の中では、少数派になるのが怖い。
「空気を乱すな」「波風立てるな」──。
こうして、疑問を持つこと自体がタブーになる。
みんなで同じ方向を見ている安心感が、
やがて思考停止の快楽に変わる。

「俺はここで頑張ってきた。間違ってるわけがない」
人は、自分の選択を正しく保ちたい生き物や。
どれだけ搾取されても、
「この苦しみには意味がある」と信じてしまう。
──それが**“やりがい搾取”を支える心理構造**や。

組織は悪意で人を縛らない。
むしろ「家族」「成長」「感謝」といった優しい言葉で囲ってくる。

でもその優しさは、
外へ出る勇気を削ぎ、疑問を抱く力を奪う。

「外に出たら通用しない」
「上司に恥をかかせるな」

こうして“信仰”は完成する。
信じることで安心し、
安心することで判断を失う──
まさに善意の檻や。

「裏切り者になれ」って話やない。
大事なんは、“自分の心の主導権”を取り戻すことや。

そして何より、
**「自分で決めて生きる」**って感覚を取り戻すこと。

信仰の対極は“自立”や。
それは孤独やなく、自由の第一歩なんや。

仕事を愛するのはええ。
でも、愛と服従を混同した瞬間、
あんたの人生は他人のものになる。

「上司が言った」ではなく、
「自分が選んだ」と言える働き方をせえ。

信仰は、やがて心を腐らせる。
けど“考える力”は、どんな職場でも自由を守ってくれる。

組織信仰の心理学──“善意の檻”に閉じ込められる人々